THE W 2020結果と勝因分析!吉住が紅しょうがを圧倒した全貌
2020年12月14日に日本テレビ系列で生放送された『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』。第4回を迎えたこの大会は、それまで一部で囁かれていた「女性芸人限定大会のクオリティ」に対する懐疑的な視線を完全に粉砕し、大会史における最大のターニングポイントとして今なお語り継がれています。エントリー総数646組の頂点に立ったのは、プロダクション人力舎所属のピン芸人・吉住でした。
強烈なキャラクター漫才で会場を沸かせた紅しょうが、画期的な新技術を持ち込んだAマッソ、王者の貫禄を見せつけたゆりやんレトリィバァなど、実力派が火花を散らした一夜。本稿では、報道各社の記録や現場の審査員コメント、当時のネット世論を徹底分析し、吉住が6対1という大差で栄冠を勝ち取った決定的な要因と、この大会が日本のコント界に与えた構造的インパクトを解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:第4回大会はピン芸人・吉住が最終決戦で紅しょうがを6対1で破り、4代目女王の座と賞金1000万円を獲得。
- 要点2:勝敗を分けたのは吉住のネタ「女審判」に見られる狂気とリアリズムの絶妙な共存であり、審査員陣から演技力と構成力で満場一致に近い絶賛を集めた。
- 要点3:Aマッソの「映像漫才」導入や容姿いじりに頼らない純粋なネタ精度の競演により、賞レースとしての格式を一気に押し上げた歴史的大会となった。
【大会結果速報】THE W 2020の勝敗・最終順位と全対戦カードの得票数
『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』の決勝戦は、5組ずつAブロック・Bブロックに分かれ、1ネタごとに勝者を決めて勝ち残るノックアウト方式で争われました。決勝進出者10組の激闘を勝ち抜き、最終決戦へ駒を進めたのは、Aブロック勝者の紅しょうがと、激戦区Bブロックを勝ち上がった吉住の2組でした。
最終決戦の審査は、プロの審査員6名(麒麟・川島明、アンガールズ・田中卓志、笑い飯・哲夫、久本雅美、ヒロミ、ハイヒール・リンゴ)に加え、視聴者によるデータ投票(1票分)を合わせた計7票で争われました。最終的な得票数は以下の通りです。
| ファイナリスト | 最終決戦ネタ | 獲得票数(計7票) | 投票した審査員 |
|---|---|---|---|
| 吉住(優勝) | コント「女審判」 | 6票 | 久本雅美、ヒロミ、リンゴ、哲夫、田中卓志、視聴者投票 |
| 紅しょうが(準優勝) | 漫才「下着泥棒の目撃証言」 | 1票 | 川島明 |
事前の下馬評では、初代王者であるゆりやんレトリィバァの返り咲きや、YouTubeやテレビで破竹の快進撃を続けていたぼる塾、SNSで熱狂的な支持を集めていたAマッソに注目が集まっていました。しかし蓋を開けてみれば、吉住が圧倒的なネタの完成度で舞台を完全に掌握。放送終了後、お笑いファンの間では「文句なしの完全優勝」「審査員の講評が極めて的確だった」と称賛の声が溢れかえりました。

【勝因徹底解剖】吉住「女審判」はなぜ爆笑を呼んだのか?審査員票が集中した理由
吉住がこの夜披露したネタは、1本目が「温情をかけられた女」、そして最終決戦が伝説となった「女審判」でした。銀行強盗の人質に取られた野球の女性審判員が、命の危機に瀕しながらも職業病ゆえに審判のコールを出してしまうという不条理コントです。
このネタがなぜ審査員と視聴者の心を鷲掴みにしたのか。要因は「心理描写の緻密さ」と「狂気の具現化」のハイレベルな融合にありました。コント開始直後はリアルな悲哀を漂わせる女性を演じながら、徐々に狂気的なプロ意識へとシフトしていくグラデーション。観客が物語へ引き込まれるスピードが他を圧倒していました。
審査員の講評にもその評価が色濃く表れています。アンガールズ・田中卓志は「吉住さんのコントは設定の面白さだけでなく、日常の延長にある人間の嫌な部分や愛らしい部分をすくい取る解像度が異常に高い」と舌を巻き、ハイヒール・リンゴも「1本目と2本目で全く違うベクトルの狂気を見せ、演技の引き出しの多さに驚かされた」と絶賛しました。
対する紅しょうがも、熊元プロレスの圧倒的なパワーと稲田美紀の的確なツッコミでしゃべくり漫才の底力を見せつけ、川島明の単独支持を獲得しました。しかし、吉住が作り出した「劇場全体を飲み込むコントの世界観」が、生放送の審査においてわずかに上回った結果と言えます。
【全ネタ比較検証】ファイナリスト10組のスコアと評価データ
大会の全貌を俯瞰するため、決勝進出を果たした10組の戦歴とネタの特徴、編集部による当時の客観的インパクト評価を以下の比較表にまとめました。
| ブロック / 出場芸人 | ネタ形式・主要演目 | 勝敗・得票結果 | 編集部の専門的評価・分析 |
|---|---|---|---|
| TEAM BANANA(A1) | 漫才「彼氏自慢」 | ● 2 - 5 オダウエダ | トップバッターながら卓越した毒舌漫才で会場の基準点を高く設定。 |
| オダウエダ(A2) | コント「焼き鳥の串」 | ● 3 - 4 にぼしいわし | 独自の世界観とシュールな不条理劇。翌年(2021年)の優勝へ繋がる布石。 |
| にぼしいわし(A3) | 漫才「言葉遊び」 | ● 0 - 7 紅しょうが | 関西インディーズの雄らしい独自のワードセンス。相手の爆発力に屈す。 |
| 紅しょうが(A4) | 漫才「魚屋・居酒屋」 | ○ 7 - 0 ターリーターキー 【Aブロック突破】 | 圧倒的な声量と間合い。文句なしのストレート勝ちでAブロックを制覇。 |
| ターリーターキー(A5) | コント「美容室」 | ● 0 - 7 紅しょうが | スパイクのコロナ辞退による繰り上げ出場。健闘するも仕上がりに差が出た。 |
| Aマッソ(B1) | 映像漫才「モニター同期」 | ● 3 - 4 ゆりやん | プロジェクターを漫才に融合。今大会最大の革新性と議論を巻き起こす。 |
| ゆりやんレトリィバァ(B2) | コント「変なカツラの女」 | ● 1 - 6 吉住 | 身体表現と狂気の塊。初戦でAマッソを破るも、吉住の緻密さに阻まれる。 |
| 吉住(B3) | コント「温情」 | ○ 6 - 1 ぼる塾 【Bブロック突破】 | ゆりやん、はなしょー、ぼる塾を次々に撃破。死のブロックを完全制圧。 |
| はなしょー(B4) | コント「面接」 | ● 0 - 7 吉住 | 前回準優勝の実力者。熱演だったが吉住の勢いを止めるには至らず。 |
| ぼる塾(B5) | 漫才「スイーツ・カフェ」 | ● 1 - 6 吉住 | テレビで大ブレイク中の登場。独自の脱力系リズムで1票をもぎ取る。 |

【現場とSNSの乖離】Aマッソ「映像漫才」の衝撃とネットの反応を再検証
大会中、最も激しい賛否両論を巻き起こしたのが、Bブロック第1試合で行われたAマッソ vs ゆりやんレトリィバァの一戦でした。Aマッソが持ち込んだのは、背後の巨大スクリーンに映し出される映像と完全に同期してボケとツッコミを繰り広げる「映像漫才」。テクノロジーを巧みに取り入れた構成は極めて斬新で、SNS上では「賞レースの歴史が変わった」「天才の所業」と爆発的な反響を呼びました。
しかし、審査員投票の結果は3対4でゆりやんの勝利。このジャッジに対し、当時のTwitter(現X)や5ちゃんねる、知恵袋などのコミュニティでは激しい議論が巻き起こりました。一部の視聴者からは「新しい挑戦が正当に評価されていない」「古典的な審査基準に縛られている」との不満が噴出したのです。
だが、現場の審査員側の視点に立つと評価の構造は異なります。笑い飯・哲夫や麒麟・川島は、Aマッソのアイデアと技術力を最大限に評価しつつも、ゆりやんが発する「生身の人間の圧倒的な熱量とパッション」に票を投じました。映像に頼ることで演者本人の表情や声のニュアンスが生の舞台で薄まってしまうリスクと、己の身体ひとつで空気を支配したゆりやんの破壊力。この差はわずか1票であり、決してAマッソが否定されたわけではありませんでした。この悔しさを経て、Aマッソは翌2021年大会でさらに研ぎ澄まされたネタを武器に最終決戦へと駆け上がることになります。
【一般の誤解を暴く】「女芸人はネタが弱い」という偏見を崩壊させた転換点
『THE W』は初期(第1回〜第3回)、一般視聴者や一部の批評家から「M-1グランプリやキングオブコントに比べてネタの純度が低い」「身内ノリや容姿いじりの自虐が目立つ」といった厳しい指摘を受けることが少なくありませんでした。しかし、この2020年大会こそがその偏見を決定的に払拭したターニングポイントです。
吉住が提示したのは、容姿や性別を安易な笑いのフックにしない「シニカルな人間観察」と「演劇的リアリズム」でした。強盗に怯えながらも審判の習性を捨てられない女、誰からも愛されたいと願いながら屈折した復讐心を燃やす女。それらは性別を問わず、現代社会を生きる人間なら誰もが心の底に抱える歪みや滑稽さを突いていました。
また、紅しょうがの正統派しゃべくり漫才、オダウエダのナンセンスなシュールコント、TEAM BANANAの鋭利な会話劇など、各組が「女性であること」を消費するのではなく「個々の芸人の強烈な作家性」を前面に押し出しました。この大会を機に、「THE W=実力派コント師・漫才師がしのぎを削る真剣勝負の場」という社会的合意が確立されたのです。

【プロの結論】賞レースがもたらした構造変化と芸人としての「生き残り基準」
賞レースの栄冠は、芸人のキャリアにどのような構造変化をもたらすのか。社会学やエンターテインメントビジネスの観点から見ると、2020年以降のお笑い界において「賞レースで結果を出した後に生き残る基準」には明確な分岐点が存在します。
吉住の勝因と現在の成功を分析すると、以下の3つの要素がプロとして長期的に生き残るための必須条件であることが分かります。
- 確固たる自己プロデュースと境界線:吉住はバラエティ番組での安易ないじりやプライベートの切り売りを避け、ネタ作りの知性や鋭利なコメント力を軸にブランディングを維持した。
- 演劇界・ドラマ界にも通用する演技力:コントで培った「人間の機微を表現する力」により、優勝後は脚本執筆やテレビドラマのバイプレイヤーとしての需要を確立。
- 大衆迎合しない独自の世界観:流行のフォーマットを追わず、「自分が面白いと信じる人間心理の闇」を掘り下げ続けた点が、同業者やクリエイターからの絶対的な信頼を生んだ。
対照的に、賞レースの勢いだけで露出を増やし、平場(フリートーク)で自身のキャラクターを更新できなかった芸人は、数年で消費されてしまう過酷な現実があります。「ネタの完成度」を武器に勝ち取った称号を、いかに「独自の表現力という信頼」へと変換できるか。吉住の歩みは、後進の女性芸人にとって最大のロールモデルとなっています。
歴代優勝者一覧と現在地|2020年大会が証明した吉住のブレイクスルー
『THE W』の歴史を振り返ると、歴代のチャンピオンたちはいずれも大会を足がかりに芸能界で確固たるポジションを築いています。
- 第1回(2017年):ゆりやんレトリィバァ(その後R-1グランプリも制覇し、世界へ進出)
- 第2回(2018年):阿佐ヶ谷姉妹(唯一無二の好感度と確かな歌唱力・演技力でお茶の間の顔へ)
- 第3回(2019年):3時のヒロイン(トリオ漫才のテンポ感とポップなキャラクターでバラエティ席巻)
- 第4回(2020年):吉住(ピンコントの最高峰として君臨し、ドラマや執筆活動でも高い評価)
- 第5回(2021年):オダウエダ(独自の前衛的コントを貫き、単独ライブ界隈で絶大な支持)
- 第6回(2022年):天才ピアニスト(圧倒的な漫才・コント二刀流で関西賞レースを総なめ)
- 第7回(2023年):紅しょうが(2020年の雪辱を果たし、東京進出と同時に大ブレイク)
この系譜において、吉住の優勝は「お笑い賞レースとしての競技性の確立」を象徴する出来事でした。単なるキャラクターの面白さだけでなく、「脚本の強度」と「演技の解像度」で頂点に立てることを証明した吉住の功績は、大会全体のブランド価値を決定づけたと言えます。
【the w 2020】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:THE W 2020の最終決戦における得票数と内訳はどうでしたか?
A1:吉住が6票、紅しょうがが1票を獲得し、吉住が優勝しました。審査員の内訳は、吉住に久本雅美、ヒロミ、ハイヒール・リンゴ、笑い飯・哲夫、アンガールズ・田中卓志、および視聴者データ投票の計6票が入り、紅しょうがには麒麟・川島明が投票しました。
Q2:吉住が披露したネタのタイトルと設定を教えてください。
A2:1回戦(Bブロック)で披露したのは、不倫相手の妻から温情をかけられた女性が屈折した思いを募らせる「温情」、最終決戦で披露したのは、銀行強盗の人質になりながらも職業病でジャッジを下してしまう「女審判」です。いずれも狂気と哀愁が入り混じった一人コントでした。
Q3:決勝戦で出場を辞退したコンビがいたのはなぜですか?
A3:決勝進出が決定していたお笑いコンビ・スパイクが、放送直前に新型コロナウイルスへの感染が判明したため、無念の出場辞退となりました。これに伴い、準決勝の次点(補欠合格)であったターリーターキーが急遽繰り上げで決勝Aブロックに出場しました。
Q4:Aマッソがゆりやんに敗れた理由は審査員からどう説明されましたか?
A4:Aマッソの映像を使った漫才はアイデアと技術面で極めて高く評価されましたが、ゆりやんレトリィバァが発した生身の人間としての舞台上の爆発力、予測不能なナンセンスさのエネルギーが審査員(ヒロミ、久本、リンゴ、哲夫)の心をわずかに上回り、3対4という僅差の判定となりました。
まとめ:過小評価を覆した『THE W 2020』が遺した歴史的価値
『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』は、単なる一過性のテレビ特番の枠を超え、日本のお笑い界において「女性芸人のネタの進化」を白日の下に晒したモニュメンタルな大会でした。
吉住が示した狂気と知性のコント、紅しょうがが貫いた王道漫才の迫力、Aマッソが投じた表現の革新。それぞれの芸人が妥協なき作家性をぶつけ合った結果、この大会は今日に至る女性芸人の黄金期を切り拓く決定打となりました。賞レースの歴史を語る上で、この夜に吉住が放った「女審判」の強烈なコールは、今も色褪せることなく鳴り響いています。 (出典: the w 2020(Yahoo!ニュース))